ここでは、金澤正由樹さんの著書『デジタル時代の「血液型と性格」』による説明がわかりやすいので、表と文章を拝借して単純化して説明します。
金澤さんは、4種類の血液型の典型的な特徴をそれぞれ2項目、合計8項目のデータに着目して分析をしたそうです。これらの項目は、過去の多くの研究から「もっとも差が出そうな」ものを選び出しました。
A型項目 几帳面、神経質
B型項目 マイペース、自己中心的
O型項目 おおらか、おおざっぱ
AB型項目 二重人格、性格が理解されにくい
調査の対象は、20代から50代までの全国の日本人男女です。トータル4,000人のうち、自分の血液型を知らなかった250人は除いたので、有効なサンプルは3,750人となりました。
どの質問も、自分の性格にとてもよく当てはまる場合は7、まったく当てはまらない場合は1の7段階での評価を行い点数化したものです。質問は血液型ごとに2問あるので、それぞれの点数の範囲は、最低2点から最高14点となります。
結果は次のとおりになったとのこと。
上の表にあるとおり、どの血液型も自分の血液型の特徴の点数が一番高くなっています👌。
念のため、血液型の特徴を「まったく知らない」という676人(無知識グループ)と、血液型と性格なんか「まったく関係ない」という1,276人(無関係グループ)だけの集計もしてみました。
結果はこれも上の表に示したとおりで、血液型の知識があろうがなかろうが、関係があると思っていようがいまいが、どの血液型も自分の血液型の特徴の点数が一番高くなっています。
これは、血液型と性格は関係しているという明らかな証拠です。
ということで、拍子抜けするほど簡単に結論が出てしまいました。すばらしいと思いませんか😁。
2022.5.3更新
参考として、前著『統計でわかる血液型人間学入門』での説明も紹介しておきます。
多くの心理学者は、昔は統計的な差があることを否定していたのですが、2005年以降には(なぜか?)差があるという見方が主流となりました。
では、血液型と性格に「関係がある」ことになったかというと、結局その点はウヤムヤになってしまったようです。
どうやら、統計的な差は「思い込み」によるものだから本当は関係はないということらしいのです。
しかし、実際のデータを調べてみた限りでは、どう分析しても思い込みだという結果は得られませんでした。
ここでは、金澤正由樹さんの『統計でわかる血液型人間学入門』による説明がわかりやすいので、図を拝借して単純化して説明します。
2014.8.10更新
もし、統計的な差が「思い込み」によるものだとすると、自分の血液型の性格特性を知っていればいるほど、他の血液型との回答の差(=統計的な差)が大きくなるはずです(下のグラフでは、上半分の濃い実線☞A)。
逆に、統計的な差が「思い込み」によるものではないとすると、その性格特性を知っているかどうかと、他の血液型との回答の差(=統計的な差)は関係ないことになります(下のグラフでは、下半分の薄い実線☞B)。
これをグラフにすると次のようになります。
[出典:金澤正由樹さん 統計でわかる血液型人間学入門]
なお、その血液型の性格特性を知っている割合が25%以下で線がないのは、血液型は4つなので、偶然でも1/4は当たるので意味がないからです。
そこで、2つの心理学論文(※1、※2)のデータを組み合わせて、本当のところを分析してみました。質問項目は複数の血液型本に共通するものを選びました。4つの血液型ごとに7項目で合計28項目です。この28項目を被験者全員に回答してもらいます。
※1 渡邊席子(1994) 血液型ステレオタイプ形成におけるプロトタイプとイグゼンブラの役割 社会心理学研究, 10(2), 77-86.
※2 山岡重行(2001) ダメな大人にならないための心理学, 第2夜, 血液型性格診断に見るダメな大人の思考法, 35-73.
例えば、「ものの言い方や表現法はもちろん、欲望の表し方もストレートである」はO型の特性なので、O型の人は他の血液型より「当てはまっている」と回答する人が多くなることにな るはずです。そしてまた、O型の人の多くが、この特性を知っていないとおかしいのです。
■実際の質問項目として採用した血液型性格特性の一覧
A型項目
B型項目
AB型項目
O型項目
※その性格特性が自分に当てはまっているかどうかを1(最小)~5(最大)の5点法で評価
その結果、全体のほぼ半分を占める血液型に興味があるグループ「血液型大好きグループ」では、15項目に統計的に意味のある差が検出されました。しかし、実際のデータを見て、質問項目をよくよく眺めてみると、次の7つの項目が奇妙であることに気が付きます。
1. 内向的で、問題を自分の中だけで解決する A型の質問項目→AB型の数値が高い
2. 人情もろい B型の質問項目→O型の数値が高い
3. 友人関係が広く、気さくで社交性がある B型の質問項目→O型の数値が高い
4. 飽きっぽい AB型の質問項目→B型の数値が高い
5. ものの言い方や表現法はもちろん、欲望の表し方もストレートである O型の質問項目→B型の数値が高い
6. 個人主義的で、ともすれば自己中心的になってしまう O型の質問項目→B型の数値が高い
7. 親密な人間関係を避ける傾向がある AB型の質問項目→B型の数値が高い
そこで、とりあえずこの7つの“奇妙な”回答は除くこととして、「正しく」回答した質問項目をグラフ化してみました。
[出典:金澤正由樹さん 統計でわかる血液型人間学入門]
見ればわかるとおり、現実のデータ[■]の傾向は薄い実線のとおり(☞B)で、その性格特性を知っているかどうかと、他の血液型との回答の差(=統計的な差)は関係ないのです。つまり、統計的な差は 「思い込み」によるものではないということになります!
追試はされてないのですが、これが本当だとすると「百年の血液型論争に終止符を打つ。」は、まんざら誇大広告でもないことになります。(笑)
上の説明については、疑似科学とされるものの科学性評定サイトで、次のような疑問が提出されました。
【投稿】
こちらの投稿でもABO FANが私の研究を否定し、自己成就予言が起こっていないこと、思い込みにより有意な主効果が出たのではないことの根拠としている金澤正由樹著「統計でわかる血液型人間学入門」に関して、皆様のご意見をお聞かせいただきたいと思い投稿しました。
(長いので途中省略)
各血液型40名にも満たない調査対象者の平均正答率を、「その血液型の性格特性を知っている割合」の指標として一般化できるのか管理人様をはじめ、このサイトをご覧の皆様のご意見を伺いたいと思います。
(投稿者:山岡重行,投稿日時:2016/05/28 16:34:46)
次は、回答のポイントと思われる文章です。
【回答】
個人的には、一般化するにはかなり幼いデータと思います。
(回答日時:2016/05/28 22:58:27)
私は特に問題はないと思います。なぜなら、サンプルの誤差を計算してみても、統計的な差は 「思い込み」によるものではないという金澤正由樹さんの結論が変わるとは思えないからです。
実際にサンプルの誤差を試算してみたのが下の図です。実測値の誤差の範囲(推定値)がわかるように赤の円を付け加えてみました。気象庁が発表する台風の進路の予報円と同じで、本当の値は約70%の確率で赤の円の中に入ります。
2016.8.22更新
赤の円が占めている領域は、それほど大した面積ではありませんから、全体の傾向を変えるほどの影響はあるとは考えられません。
つまり、統計的な誤差を考慮しても、その性格特性を知っているかどうかと、他の血液型との回答の差(=統計的な差)とは関係がないということです。
結局、「統計的な差は“思い込み”によるものではない」という金澤さんの結論は変更する必要はないものと思われます。
「統計的な差は“思い込み”によるものではない」ことは、金澤正由樹さんは別の方法でも検証しています。
[上に紹介した山岡さんの]数値をよく見てみると、差が出ている質問項目の中には、O型の特性のはずなのに、「血液型大好きグループ」では、B型が最高値を示している、といったようなものもある。つまり、本来の血液型とは違う「間違った」血液型性格特性に“思い込ん”でいるものが存在するからである。これらは、差が出た15項目中、半分近い7項目とかなり多い。
(中略)
O型の特性のはずなのに、なぜかB型が一番当てはまると回答しているといった、「間違った」血液型性格特性に“思い込み”が存在するはずがない。
[出典:金澤正由樹さん 統計でわかる血液型人間学入門]
やはり、「統計的な差は“思い込み”によるものではない」と結論づけてよさそうです。数字やグラフを使わないだけ、こちらの説明の方がわかりやすいかもしれませんね。
奇妙なことに、疑似科学とされるものの科学性評定サイトでは、この説明には全く触れられていません。何か理由があるのでしょうか…。