茶目っ気のある心理学論文があるので、皆さんにご紹介しておきます。
山下玲子 (2008), 血液型性格判断はなぜすたれないのか, 日本社会心理学会第49回大会発表論文集.
http://www.bunken.org/jssp/conf_archive/paper_download.php?s=2008-E-0208
ここには、心理学者がこんな内容の論文を公開しちゃっていいのかなぁ、というほど面白いことが書いてあります。
今回の調査対象者は、血液型性格判断に対して相応の知識を持ってよく話題にし、血液型と性格の間には多少の関係があり、それは自身の血液型についてもある程度当てはまると信じ、そして、血液型性格判断が好きであるということが示された。
だいたい、心理学のどの調査でもこんな感じなんですよね。
山下さんが言うように、多くの人は、「血液型性格判断に対して相応の知識を持ってよく話題にし、血液型と性格の間には多少の関係があり、それは自身の血液型についてもある程度当てはまると信じ、そして、血液型性格判断が好き」なんです。
さらに面白いことに、この論文では、血液型でイヤな思いをしたり、B型とAB型は少しはネガティブなイメージがあると書いてあるにもかかわらず、
血液型別に、血液型性格判断に対する知識の程度、血液型性格判断との関係性の有無、血液型性格判断の自分への当てはまりの程度、血液型性格判断の話題を行う頻度、血液型性格判断の話題への好みについて、一元配置の分散分析を行ったところ、いずれの項目においても有意な差は見られなかった。
Table 1を一部改変 自身の血液型の扱いについてのイメージ(数値が大きいほど否定的)
血液型 |
回答数 | 平均 | 標準偏差 |
O型 |
78 | 2.21 | 0.73 |
A型 | 92 | 2.43 | 0.80 |
B型 | 59 | 3.93 | 1.02 |
AB型 | 32 | 2.94 | 0.67 |
ということなんだそうです。
要するに、「差別」なんて大したことはない、ということになってしまいます。
人ごとながら、こんな論文を公開しちゃって大丈夫なのかなぁ、とつい余計な心配をしてしまいます。
思わずホンネが出ちゃったんでしょうかね?
しかし、学会の大会発表論文にこんなことを書いていいのかなぁ…。
ひょっとして、山下さん本人が血液型が大好きなのかなぁ、とつい余計なことを考えてしまうのは私だけでしょうか?(笑)
【追記】
B型に言わせると、B型には「悪いイメージ」が付いて回るから怪しからん、というのはよく聞く話です。しかし、だからといってB型が血液型の話題が嫌いかというと、全然そんなことはありませんよね! 山下さんの論文では、このことがデータで裏付けられています。
彼女は、血液型による不愉快体験を1(最も不愉快)~5(最も愉快)で評価してもらいました。
次の表にあるとおり、B型以外の回答は平均は3点ぐらいだったのですが、B型だけがほぼ2点とダントツに不愉快体験が多かったのです。しかし、それにもかかわらず「血液型性格判断に対する知識の程度」「血液型性格判断との関係性の有無」「血液型性格判断の自分への当てはまりの程度」「血液型性格判断の話題を行う頻度」「血液型性格判断の話題への好みについて」は、他の血液型と変わりはありませんでした。
Table 2を一部改変 血液型性格判断に対する不快感(数値が小さいほど不快)
血液型 |
回答数 | 平均 | 標準偏差 |
O型 |
78 | 3.26 | 1.04 |
A型 | 92 | 3.05 | 0.98 |
B型 | 59 | 2.36 | 1.00 |
AB型 | 32 | 3.09 | 1.00 |
つまり、B型は自分の血液型イメージとは関係なく血液型の話題が好きなのです。
いやぁ、あまりにも経験と見事に一致するので、思わず笑い出してしまいました。
#B型の人にはすみません…。
2016.9.9更新