古代人の血液型

🌍ネアンデルタール人とデニソワ人

この情報は、読者からのメールのNo.2182をもとに、専門家に確認した結果です。

  

判定された血液型だけ書いておくと、

  • Altai(ネアンデルタール人)はAAのA型 

  • Vindija 33.19(ネアンデルタール人)はBOのB型

  • Chagyrskaya(ネアンデルタール人)はAOのA型

  • Denisova(デニソワ人)はOOのO型

となります。

補足説明

実は、↑のPLOS ONEの論文のほかに、 オックスフォード大学の論文↓

 

ABO Genetic Variation in Neanderthals and Denisovans

  

もあり、こちらには、

  • Vindija(ネアンデルタール人)はcis AB型

  • Altai(ネアンデルタール人)はOOのO型 

  • Chagyrskaya(ネアンデルタール人)はOOのO型

  • Denisova(デニソワ人)はcis AB型

とあります。

 

念のため、専門家に確認してみました。

  

結果ですが、意外にもオックスフォード大学の論文は間違っていて、訂正文↓も出しているとのこと。

 

https://academic.oup.com/mbe/article/38/12/5835/6383596

 

そして、この訂正文も間違っており(cisAB型ではない)、冒頭のPLOS ONEの論文↓が正しいのだそうです。

 

Blood groups of Neandertals and Denisova decrypted

 

 

【2023.7.18追記】

 

↑の論文より前に、ネアンデルタール人2人がO型だったという論文が出ていたそうです。

 

Genetic characterization of the ABO blood group in Neandertals

 

皆様、情報提供ありがとうございます。

 

【2023.9.17追記】

 

その後、丸魚さんから、ネアンデルタール人の1人はcisABではないかと9/6付けでコメントをいただきました。

 

この2つの論文はオックスフォードの方が正しいですね。

オックスフォードの論文の訂正文ではO(B)型がO1型だったと訂正しているだけで、この論文全体が間違ってるというものではありません。この訂正文も間違っていると書いてありますが、どこがどう間違っているのですか?

逆にplosoneの論文は無茶苦茶です。この論文では、一塩基欠失がなくて配列がなんとなくA型のものはA1型と無理矢理当てはめています。一塩基欠失がなくてA型的な配列なものではO2型があり、オックスフォードの論文にある通りです。plosoneの論文はネアンデルタール人をA1型、B型、O1型に無理矢理当てはめていて、稀なタイプのO2型やB(A)型などが考慮されていません。

そもそも、オックスフォードの論文はmolecular biology and evolution(mbe)に載っていて、plosoneと比べて全然信頼性が違います。plosoneのインパクトファクターは3.7

でmbeは8800です(2022年)。plosoneは多少内容がしょーもなくても載ってしまいます。

オックスフォードの論文については斎藤成也先生も触れていました。(下の動画20分10秒から)

https://www.youtube.com/watch?v=qdri1zVMNNE

なのでオックスフォードの論文により

ネアンデルタール人

O1/B(A)

O1/O2

O2/O2

の3人

デニソワ人

O1/O1

の1人

が確認されたということです。

by 丸魚 (2023-09-06 12:16) 

 

問い合わせてみましたが、確たる結論が出ないので、当面は両論併記にしたいと思います…💦

 

🗾縄文人

読者からのメールのNo.2183より

 

4.メッセージ

 

動画に縄文人の血液型に触れられていましたが、縄文人11個体の血液型を調べた論文をみつけたのでどうぞ↓。

 

https://www.nature.com/articles/jhg201090.pdf

[続縄文人も含めるとO3:A4:B2:AB2]

 

これによると、

縄文人の血液型の頻度分布はO型が少ないものの現代日本人と大差がなかったです。その代わりサブタイプレベルでは違いがあり縄文人ではO02型(←O型の一種)が多いです。O02型は現代日本人では東北や九州南部や沖縄に多いそうです。

 

それに対してオホーツク人はO型の頻度がかなり高いです。

[13人中8人がO型]

 

前にアイヌの血液型の分布に触れていましたが、アイヌにO型の頻度が高い集団が存在するのは、オホーツク人の影響です。

アイヌの血液型の分布は集団によってバラツキが大きいです。↓[データはこちら

 

https://www.jstage.jst.go.jp/article/minkennewseries/16/3-4/16_KJ00003543555/_pdf/-char/ja

 

🔈動画をご覧いただき、大変ありがとうございます!

 6/30の血液型番組(ホンマでっか!?TV)のせいもあるのか、お陰様でアクセス好調です😄。

 

 また、貴重な情報もありがとうございます。

 縄文人はO型が多いと予想していたのですが、続縄文人も含めるとO3:A4:B2:AB2で、なぜか現代人とあまり変わりませんね。

 正直、ちょっと意外です。
 なんでかな?🤔

 

 江戸時代のアイヌは、mtDNAの解析によると、続縄文人、東北地方の和人、オホーツク人の混血らしいですが、それが血液型でも裏付けられた感じですね。

 

 プレ・アイヌ期の人類集団を捉え直す:北海道先史時代人骨についての総合的研究

 https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-17H03737/

補足説明

2019年には、国立科学博物館らのグループが、↑とは別に船泊遺跡の人骨(船泊23号)のゲノム解析を行い、その結果はA型(AO)でした。

 

出所

  1. プレスリリース 遺伝子から続々解明される縄文人の起源 ~高精度縄文人ゲノムの取得に成功~ 
  2. Late Jomon male and female genome sequences from the Funadomari site in Hokkaido, Japan

更新日 2023.7.15