このコーナーでは、血液型人間学を理解するポイントを、能見さん自身の要約でお届けしましょう(能見正比古 O型は人間は権力志向型なんだって-血液型性格学 別冊宝島6 『性格の本-もうひとりの自分に出会うためのマニュアル』 宝島社 1977.8 太字は私)。
能見正比古さんが、血液型に興味を持ったのが中学[現:高校]のころだったそうですが、その後20年ほど特に進展はしなかったそうです。理由はというと…。
最大の原因は、従来の常識的性格観に、とらわれすぎたせいである。人々はすぐ性格に類型をつくりたがる。私も、O型はこれこれのタイプ……という決め方をしようと焦っていた。そんな類型をつくり得るほど、性格の本質は、とらえられていないのである。さらに日常に使われる性格用語を、それぞれの血液型にあてはめようとしては、失敗した。性格をあらわす言葉と思われているのは、じつは、表面に出た見た目の行動の断片をいうにすぎないものが多い。見た目が静かだったり考えこんだりしていろと内向的、大声で笑ったり騒いだりすると、外向的だなどという、大ざっぱなものが多いのだ。昼寝をしている姿を見て、ライオンは、おとなしい性格というようなものである。 |
この点は、いくら強調しても強調しすぎることはありません!
血液型による性格特性が、性格を表す言葉と1対1で対応する、という先入観は捨てる必要があります。能見さんが言うように、「内向的」というのは、単なる見かけに過ぎないのです。もちろん、普通はそれでもいいのですが、そう思いこんでしまうと、血液型と性格はまず絶対に理解できませんので、十分注意してください。(*_*)
では、具体例で説明してみましょう。
O型は独立心旺盛?
例えば、O型は普通は独立心旺盛で、自分のポジションに敏感です。また、それをストレートに態度に表します。ということはどういうことかというと、「よき親分子分」ということです。
あるいは、上位に立った場合と、下位にいる場合では態度が大きく変化するということにもなります。O型自身の独立心は強いのですが、自分が弱い立場だと、逆に上位の人を頼ったりしますので…。
これを文章化すると、O型が「独立心旺盛」とは必ずしも言えません。
逆に、B型は自分のポジションには割と鈍感です。そういう意味では「マイペース」と言えます。ですから普通は、「よき親分子分」ではありません。
では、O型とB型でどちらが独立心が旺盛なのか?
「立場によって変わる」というのが一番正確でしょう。(^^;;
ただし、これだけでは何の説明にもなっていません。
性格を抽象的に文章化すると矛盾するという一例です。
#数学的には、反応が線形でないと言った方がわかりやすいでしょう。
#従来の心理学の研究は、線形のデータしか分析していません。
#それで差が出ないから差がないはずだというのは、どうかと思います。
さらに厄介なことに、「独立心旺盛」かどうか質問をすれば(条件が一定なら)たぶん何らかの安定的な差が出るはずです。これが、「O型は独立心旺盛」と誤解される原因になるのです。 極論すれば、文章化すれば必ず矛盾すると言ってもいいでしょう。
繰り返しになりますが、血液型による性格特性が、性格を表す言葉と1対1で対応する、という先入観は捨てましょう。血液型と性格の関係を誤解する最大の原因なのですから…。
ところで、既存の性格心理学は、性格は言葉で表せる、かつ状況に対して固定的なものである、というのが前提です。しかし、既に書いたとおり、現実は必ずしもそうではありません。既存の学問(性格心理学)で関係があった(なかった)から…というだけではダメなのです。
遺伝子なのか血液型物質そのものなのかわかりませんが、確かに性格には影響を与えています。ただ、このように、その影響は言葉をベースにした性格心理学で正確に表せるものではないのです。
A型は神経質?
もう一つ、「A型が神経質」というのも説明してみましょう。
ここでは、『新・血液型人間学』から引用しておきます(p101~102 傍点は下線に変更)。
“神経質”は困った言葉 神経質という言葉は、古代ギリシャの時代から使い古されてきた言葉である。これこそ絶対、性格用語の本命のように思われている。しかし、改めて吟味して見ると、これまた性格を示す言葉としては、使いものにならないことがわかる。 つまり、ある状況の下には神経質だとか、ある方面には神経質であるとか、ないとかは言うことができる。だが、全方向に神経質な人は、まず、絶対といっていいほどいない。ある人は着るものに神経質で、別の人は食事に神経質だろう。その違いが、性格を語るのに重要なのである。 最近聞いたO型のある高級官僚氏は、趣味の音楽鑑賞はうるさく、神経質なくらいと言われていた。その同じ人が、湯たんぽのお湯を平気で煮炊きに使うという。神経質なんてそんなものである。もし病的な神経質で周囲を手こずらせている人がいれば、その人は、周囲の人の感情には、ドンカン、無神経ということになるのだ。 神経質な人の血液型別の方向を、簡単に列記してみよう。お断りするが、これはあくまで神経質と見られる人の傾向である。 O型は身体や健康について神経質。病的な潔癖症や高所恐怖症もある。社会の中での他人の目、好意や悪意にも神経質となる。 A型は周囲の動きや反応、それに対する自分の姿勢に神経質。物事のケジメ、善悪の評価などに潔癖。未来への悲観主義や、仕事などの完全主義傾向も一種の神経質だ。 B型は自分の気分調整に神経質。行動を制約された状態ではイライラ。過ぎたことにクヨクヨ。事実関係の正誤にもうるさい。 AB型は、人間関係で神経質となりがち。対人恐怖症も一部にいる。自分の社会的役割りや仕事面の蝿張り保持に神経過敏。経済生活の基盤がガタつくと、度を失い気味。 以上の例でも判るように、現在、日常で性格を指す言葉として使われているもので厳密には、性格を明示するに足るものは、ほとんどない。 |
なかなか納得できる説明だと思うのですが、どうでしょうか?
念のため、ちょっと解説しておきます。一般的に神経質と言った場合はA型です。しかし、あくまでも平均すればの話で、A型がすべての面で神経質なのではありません。また、血液型による差はせいぜい10~20%ですから、びっくりするような差ではないのです。他の影響もかなりある、と考えてくださいね。(^^)
情緒安定と不安定
情緒が安定・不安定という表現もあります。これも、能見さんの分析ではこうなります(能見正比古 O型は人間は権力志向型なんだって-血液型性格学 別冊宝島6 『性格の本-もうひとりの自分に出会うためのマニュアル』 宝島社 1977.8 )。
O型は一般に情緒安定型と見られている。感情の表現は大きい人もあるが、その動揺によって自分や、自分の生活を見失う人は、ごく少ない。ただ、そのO型が追いつめられた状況が、ある限界をこすと、突如、感情は大混乱し、情緒は、不安定どころの騒ぎではなくなるケースが、よくある。 A型は、対照的に見える。元来、昔男性心理性[注:情緒不安定型?]と見られがちなA型は、周囲の動向に敏感である。完全主義でもあるA型は、ふかく、物ごとのプラス面より、マイナス面を、かぞえやすい。従って状況が悪くなるにつれ、過敏なほど動揺も増す。ところが、その悪さが、これまた、ある限界を試すと、O型とは逆に水を打ったように冷静に落ち着いてしまうことが、よくある。一種の開き直り。 B型 気分屋お天気屋の傾向は一番強い。だから、その情緒はたえず波立っているといえる。お調子にも乗れば、すぐガックリきたりもする。かんしゃくも起すし、奥様方の評判では、どうやら一番手も早い。だが、そのくせ周囲の状況には、一番左右されないのである。つまり、波は立つが、波立ち方は、どんな時も、ほぼ一定といえる。 AB型は、複雑な様相を見せる。ひどくクールで冷静な面がある。スポーツ選手のAB型には大へん特徴的に出たりする。その半面、(特に家庭などでは)ひどい気まぐれさを見せ、唐突に泣き笑う姿を見せる。 以上の四つのケースの、どれを情緒安定といい、不安定といったらいいのだろうか。O型は、ある限界点を境に、安定から不安定へ。A型は逆に不安定から安定へ大転換する。B型は部分的に見れば不安定、巨視的に眺めれば安定だ。AB型は安定と不安定の2つの面を使い分けている。 |
このように、情緒安定・不安定という表現は、ある時点のその人の状態を示すだけの話で、性格 の実態を正確には表していないと考えるしかありません。(下の図は『血液型エッセンス』のp41から)
従って、
従来の性格観の大きな誤りは、性格を固定的な言葉で規定できると考えてきたことだ。事実は、性格は状況によって変わるし、時間的にも年齢差でも、大きく変化を見せるものである。もしそれを集約的に表現できるとすれば、1、2の単語で表わすものではなく、関数表現ということになろう。 |
となります。
血液型は意外と単純ではありません。残念ながら、既存の性格心理学で簡単に分析できるような代物ではないのです。
2008.11.3更新